農業・畜産

豚肉を生産するための養豚事業について

私たちの食生活に豚肉は欠かせません。
総務省の実施する家計調査によると、1世帯あたりの豚肉の消費量は19,564グラムで牛肉の6,567グラムと比較すると約3倍。
お手頃な価格で栄養価も高い豚肉は家庭消費量がとても高く、食卓になじみのあるハムやソーセージなどの加工品にも使用されています。

豚肉を生産するための養豚事業について

豚肉を生産するための養豚事業は主に3種類に分かれ、種豚経営、繁殖豚経営、肥育豚経営があります。
種豚農家が種豚を出荷し、繁殖豚農家が子豚を出荷し、肥育豚農家が肥育して食用として出荷します。最近はこの繁殖から肥育までの過程を一貫して行う「一貫経営」が主流になっており、ブランド豚としての商品化なども取り組まれています。

養豚はどんな仕事?

養豚の仕事を大まかに表すと以下の4つに分類されます。

①種付け・分娩をする
②餌をあげる
③掃除・消毒をする
④発育や出産に合わせてスケジュール管理をする

①種付け・分娩をする
種付け・分娩をしなければ養豚業は成り立ちません。なぜなら養豚は乳牛の畜産などと異なり、一度出荷すると商品がなくなるからです。
種付けの管理は難しく、発情行動、粘液、背圧反応などから発情期の雌豚を見分けなければいけません。発情期の雌豚を見つけたら雄豚の豚舎に移動させて自然交配を行ったり、人工的に授精を行ったりします。
スムーズな出産のためには母豚の体調管理が重要で、これは養豚業の最も難しい仕事と言っても過言ではありません。
②餌をあげる
豚の発育段階に合わせて給餌を行います。
生後間もない子豚は約20日間母乳で育てます。人間同様、母乳を飲むことにより免疫力などが身に付き強い生体が養われます。
次に消化に良い人工乳を与えて離乳を促します。授乳期間が長いと母豚の妊娠周期にも影響を及ぼすためです。母乳で育てるのは体重が約6キロまでで、そこから約30キロになるまでは人工乳で育てます。
その後子豚用の飼料を与えて50日、肉豚用の飼料を与えて60日かけて肉豚として出荷できるくらいまで肥育します。
③掃除・消毒をする
意外かもしれませんが、豚はデリケートな動物です。ストレスが多いと病気にかかりやすく、発育に影響を及ぼすこともあります。
そのため、豚舎の定期的な洗浄や消毒、ワクチン接種は欠かせません。
④発育や出産に合わせてスケジュール管理をする
豚の体調管理や繁殖を考えた時に、年間のスケジュール管理は不可欠です。
母豚の妊娠期間は約114日、哺乳期は約20日です。哺乳期を終えてから約7日後に交配と考えると妊娠周期は141日間。一年で2.5回の出産が可能ということになります。
一度の分娩で子豚を10頭生むのが平均なので、母豚一匹につき一年で25頭の出産が可能になります。
子豚の発育に要する期間は約半年です。内訳は哺乳期20日、人口乳期50日、子豚期50日、肉豚期60日です。
この出産、肥育の期間を考慮すると売り上げの見込みが計算ができます。

養豚は豚の意外とデリケートな内面との対話でもあります。
高品質な豚肉の安定供給には畜産農家の知られざる苦労が隠されています。